「どうしたら幸せになれるの?」という問いに答えが出ました

「幸せになるにはどうすればいいか?」や、そもそも「幸せとは、どういう状態なのか?」という疑問は古今東西の哲学者、思想家、宗教家が人類の歴史を通じ、束になって取り組んできたテーマです。

それぞれの賢人から「なるほど」と納得できる答えは示されているのですが、内容が十人十色なので、どの人の考えを拠りどころにすればいいのか、迷ってしまいます。

しかし、最近、世の中に無数に存在する「幸福論」をみごとにまとめ、誰でも簡単に実践できる「使える幸福論」が登場しました。

その本は樺澤紫苑著「3つの幸福」。精神科医である著者は、精神医学からのアプローチで、「どうしたら幸福になれるのか」という問いに、明確に答えを出しています。

その答えはズバリ次の3種類の幸福を実現することです。

1.セロトニン的幸福

2.オキシトシン的幸福

3.ドーパミン的幸福

「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」は、幸福感をつかさどる脳内物質です。これらが脳内に分泌されると、幸福になれます。

「セロトニン」が脳内で分泌されると「気持ちがいい」「すがすがしい」「さわやか」という気持ちになります。逆にセロトニンが低下すると、病気になったり、体の調子が悪くなり、うつ病になる危険性が高まります。

「オキシトシン」は人との「つながり」と関係する脳内物質です。誰かと一緒にいて「楽しい」「うれしい」「安らぐ」など、相手との安定した人間関係によって生まれるプラスの感情をつかさどっています。

「ドーパミン」は「成功」、「達成」に関連する脳内物質です。大金を得る、欲しいものを手に入れる、昇進、昇給など仕事での成功、地位や名誉を得ることなどが当てはまります。

ドーパミンは脳を興奮させるので、高揚感が伴います。「やったーっ!」と思わず手を挙げてしまうような「喜び」「楽しさ」「達成感」を感じることができます。

ここで気を付けたいのが、「ドーパミン的幸福」ばかりを追い求めると、思い切り不幸になる恐れがあることです。

例えば会社で社長まで上り詰め、社会的に成功した人が、家庭を顧みずに仕事をしてきたため、家族とは疎遠になり、退職後寂しい晩年を迎えた、あるいは激務のために体を壊したなどという事例は、「ドーパミン的幸福」だけを追い求めた結果となります。

また、ドーパミンはアルコール、薬物、ギャンブル、買い物、ゲームなどでも分泌され、依存症になりやすく、有り金のすべてをそれらに投入して、挙句の果てに借金が増えて仕事もできなくなり、家族関係や社会生活の破綻につながってしまうこともあります。

完全な幸福は、まず「セロトニン的幸福」を土台として確立し、その上に「オキシトシン的幸福」を築き、最後に「ドーパミン的幸福」を実現することなのです。

「健康第一」とは、幸せになるための標語なのです。

そして、この本が「使える幸福論」として他の幸福論と一線を画す特徴は、3つの幸福を得るために、誰でも簡単に実行できる方法が紹介されていることです。

以下にその方法を紹介します。

  • セロトニン的幸福を得る方法

「運動」「睡眠」「朝散歩」を実行することです。

運動は1日20分の早歩き。さらに週2~3回、45~60分以上の中程度の運動を加えます。座り仕事が多い人は、1時間おきに立ち上がることを意識します。

睡眠は1日6時間以上必要です。できれば7時間以上が望ましいです。質の良い睡眠のために、寝る前2時間以内の飲酒、食事、スマホ、ゲーム、激しい運動を控え、リラックスして過ごします。

朝散歩は、起床後、1時間以内に、15~30分の散歩を行う。その際、朝日を浴びることが大切です。朝日を浴びるとセロトニンが活発に分泌されます。

  • オキシトシン的幸福を得る方法

最も効果的なのはスキンシップです。パートナーがいる人は、ハグ、手をつなぐ、マッサージをしたりされたりすることです。

パートナーがいなくても、アイコンタクトや会話など、人との心の通った交流によってオキシトシンが分泌されます。また、コミュニティや部活、グループに所属する「帰属意識」でもオキシトシンが出ます。

人に親切をしても、自分と相手の両方にオキシトシンが分泌されます。また、感謝、他者貢献、ボランティア活動などでもオキシトシンが出ます。

しかし、友達を多く作ろうと考える必要はありません。社会学の研究では、人のために使える時間や資源に限りがあるので、親しい関係を作れる人数は、家族、友人、仕事関係を合わせて、せいぜい5~6人が限界との結論が出ています。

人との交わりが苦手な場合は、犬や猫などのペットとの交流、植物の世話でも分泌されます。

  • ドーパミン的幸福を得る方法

今の自分の実力と比べて、ちょっとだけ難しい課題を自分に課し、実現に向けて眼がります。「ちょい難」の課題に挑んでいる間、ドーパミンが分泌されます。集中力、やる気、記憶力、学習機能が向上し、自己成長を感じることができます。そして課題をクリアしたときは、ドーパミンがたっぷりと分泌されます。

たとえ目標を達成できなくても、ドーパミンが分泌され、幸福度もアップすることが、研究で明らかになっています。

また、興味があること、「ワクワク」することに素直に従って挑戦しても、ドーパミンが分泌され、自分ならではの幸福へと導かれます。

 

さあ、これで幸せになれる方法が分かったので、あとは行動あるのみです。また、「今の自分は、あまり幸福ではないな」と感じた時、「3つの幸福」のうち、何が足りないのかを点検することで、今何をすべきかが分かるでしょう。

私は「3つの幸福」の読後、「幸福とは何か」という抽象的な概念が、実態として感じることができるようになりました。そして今自分の幸福度がどれくらいかということを客観的に認識できるようになりました。

読書前と後で、「自分自身の幸福」の見え方が大きく変わる本です。まだ読んでいない方は、是非ご一読下さい。

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