「今、私が担当している仕事の内容は、好きで得意なことなので、不満はない。でも、職場にいるあの人が苦手で、目の上のたんこぶだ。あの人さえいなかったら、天国のような職場なのに・・・」
と嘆いているあなた。無意識に人間関係を壊す行動をとっていないでしょうか?
青木仁志著「40代からの成功哲学」では、良好な人間関係を維持する秘訣が紹介されています。
「何事も自分がしてほしいと望むとおりのことを他の人々にもそのようにしなさい」。
この黄金律に従って生きていると、周りと一緒に成功していくことができる。
この言葉の裏付けとして、全人類に共通している「返報性の法則」があります。
「返報性の法則」とは、親切にしてもらった相手には、同じことをして報いようとする習性のことです。
だから、自分がしてほしいことを他人にすることで、相手はあなたが困った時に力になりたいと思うようになります。
一方で、人には「親切を施した相手を好きになる」という習性が心理学で明らかにされています。よって、あなたもその人に対して悪感情を抱きません。
こうして良好な人間関係が築かれるのです。
もし自分のしてほしいことを、あえて相手にしなかった場合を考えてみましょう。
例えば、同僚が重い荷物を運ぼうとしていて、自分だったら手伝ってほしいと思う場面です。
しかし、あなたには急いで片付けなければならない仕事があるので、気づかないフリをして通り過ぎます。
人には、自分を正当化し、相手に非があるように思い込もうとする習性があるので、その時、あなたは心の中には、「あいつは以前俺がいくつも仕事を抱えて忙しい時に手伝ってくれなかったから、俺も助けないのだ」。という考えが芽生えます。
この原則については、アービンジャー インスティチュート著 「自分の小さな『箱』から脱出する方法」に詳しく書かれています。名著なので、興味のある方は是非ご一読下さい。
そして、この瞬間が人間関係を壊す第一歩となります。人間は行動に一貫性を持とうとする習性があるので、このようなことは繰り返されます。
そして、次第に積もった相手に対する悪感情は、自然と伝わるので、相手にもあなたに対する敵対心が芽生え、人間関係の悪化につながります。
これは挨拶のような簡単なことにも当てはまります。出勤時に同僚に挨拶をしなかったら、その人とは少し気まずくなる。この積み重ねで相手との距離が出来てしまいます。
「そうは言っても、自分が先に相手に奉仕したら、相手から下に見られたり、卑屈になったり、損した気分になったりしてしまうよ」
というあなたは、「自分のしてほしいことを人に施すのは、人間関係のストレスを撲滅して自分の身を守るための先制攻撃だ」
と発想を転換して下さい。
そうすれば、自分のための行動と思えるようになるので、気持ちよく実践することができるようになります。