「同じ課の先輩Aさんは、これまで輝かしい業績を上げている。
でも、それを鼻にかけている様子もなく、部下に優しくてリーダーシップがあり、会議の席では物おじせず上役に意見をどんどん伝えている。
あのようなキャラクターになるまで、相当努力をしたんだろうな。私にはとても到達できそうにない境地に達しているよ」
と、気落ちしているあなた。
あなたも、あることを習慣づけることで、Aさんのようになれます。
中島孝志著「インテリジェンス読書術」に、その秘密が語られています。
経営者は好んで司馬遼太郎、藤沢周平、吉川英治といった作家の歴史小説を読む。
愉しめるうえ、会社経営の参考書にもなるからである。戦国物から中国古典にいたるまで、人物を勉強するには歴史小説がうってつけである。
雇われの身でも、経営者の視点を持つことで、仕事を眺める視点が高く、かつ複眼的になり、また人をまとめて動いてもらう対人術も向上します。
そんな経営者が娯楽を兼ねて参考にしているのが、歴史小説です。
歴史小説の世界に身を置くことで、失敗したら命を奪われかねない状況に置かれた歴史上の人物が、思考し、行動した結果得られた教訓から、現代の課題に対する洞察やアイデアを獲得できるのです。
例えば、司馬遼太郎の歴史小説「燃えよ剣」には土方歳三の「幕府のために一歩も引かずに戦う」という単純な思想が新選組という強い集団を作ったと述べられています。
複雑な思考力を持つより、一つの信念を持つほうが困難な局面を打開する原動力になるという教訓を得ることができます。
このように、歴史小説は、ハラハラ、ドキドキしながら物語を楽しめることに加えて、現実のビジネスに適用可能な洞察を提供してくれます。
過去の人物たちの行動や決断から学び、あなたの業務や人間関係の構築に活かすことで、仕事力と人格を伸ばすことができるのです。
もちろん、歴史小説だけがすべての解決策を提供するわけではありません。「AIを活用した仕事の効率化」などのスキルは学ぶことはできません。
しかし、「人望とは何か」や、「天才ではない普通の人がどうやって天下を取ったのか」などといった、人間力を構築するうえで必要な知識を、楽しみながら得ることができます。
歴史小説は単なるエンターテインメントだけでなく、社会人にとっての知恵の宝庫と言えるでしょう。
歴史小説を読むことを習慣にすることは、あなたの人格と仕事力を豊かし、自信にあふれた仕事人に成長するきっかけを与えるのです。