「このブログでは、再三読書を奨めているけど、どんな本を読んだらいいの? せっかくお金と時間をかけるのだから、読んで得して、仕事ができるようになり、さらに人格も上がる本を読みたいよ」
とおっしゃるあなた。
鷲田小弥太著「本の定番ブックガイド」に、どんな著者の本を読んだらいいかについて、次の5つの条件を挙げられています。
1.学問好きの人
2.広く書物を読んでいる人
3.読みやすい
4.自分の国を大切に思っている人
5.雑書を広く読んでいる
この5つの条件に当てはまる著者の一人は、故渡部昇一氏でしょう。
その理由は、次のとおりです。
1.学問好き
渡部氏は元上智大学の英語学の教授です。学問好きであることは明らかです。
2.広く書物を読んでいる
渡部氏の蔵書は15万冊といわれており、個人の蔵書としては世界一といわれています。専門の英語学だけではなく、歴史書、宗教書、哲学書科学書、文学、百科事典、さらには古文書に至るまで、あらゆるジャンルの書物を読まれています。
3.読みやすい
渡部氏の著書は難しいことを優しく書かれています。政治、歴史、宗教など、様々な分野を、素人にも分かるように噛み砕いて解説しているので、教養がみるみる身につきます。
これらのような高尚なジャンルだけでなく、良い習慣の身に付け方(「できる人になる生き方の習慣―スイスの哲人ヒルティが教える97の処世訓」)や、お金持ちになる方法(「財運はこうしてつかめ」)、願望実現(「眠りながら成功する―自己暗示と潜在意識の活用」大島淳一名義)など、読書の初心者でも楽しく読める本を多く著しています。
4.自分の国を大切に思っている人
渡部氏の著書は、日本に生まれたことに誇りを持たせてくれます。渡部氏は、日本の素晴らしさの一例として、神社を挙げています。古代から存在している神社が未だに機能しており、世界でもまれな文化の連続性があることを述べています。
また、日露戦争に勝利したことで、それまで白人の国に植民地支配されていた有色人種の国が独立するきっかけを作ったことなど、日本人であることに胸を張れる気持ちにさせてくれます。渡部氏の日本史関連の本は超お薦めです。
5.雑書を広く読んでいる
渡部氏は古今東西碩学の本だけでなく、マンガや雑誌のような大衆的な本にも目を通します。渡部氏によれば、楽しく感じるものを読み続けていると、いつの間にか判断力がついてきて、難解な本でも理解できるようになるとのことです。
・・・・・また、渡部氏本人の書籍だけでなく、渡部氏の推薦本も読む価値ありです。渡部氏の盟友で、渡部氏と同じかそれ以上の蔵書を持っている、「書鬼」谷沢永一氏と対談形式で良本を紹介している本が多く出版されています。
その中には誰も知らないお宝本が山のように紹介されており、それぞれ概要、読みどころが解説されています。十万冊以上の蔵書からよりすぐられているので、当たり本の確率がかなり高いです。
ただ、絶版本も紹介されているので、入手困難なものもあります。「日本の古本屋」サイトや図書館で発見したときの喜びは格別です。
一例ですが、渡部氏が伝記の中で最も有益な本と推薦している「サミュエル・ジョンソン伝」。絶版の岩波文庫でしたが、運良く復刊で購入できました。
世界で初めて英語辞書を編集した人物の言動を記録した本で、その鋭い洞察力からほとばしり出る、個人レベルから社会全体についての箴言は、まさに名言揃いで、深く心に突き刺さります。
渡部氏は残念ながら故人となってしまいましたが、その著書は普遍的な内容のものばかりなので、いつまで経っても色褪せることなく、後世に残ると思います。教養を身に着けるとともに、仕事ができるようになり、さらに人格的にも成長したいと思うあなたには、渡部氏の著書や、渡部氏の推薦本を読むことをお薦めします。