今回は趣向を変えて、最近観た映画「PERFECT DAYS」の紹介をします。
その理由は、この映画は、幸福感に満たされている人の日常とはどんなものかを、はっきりと映像化されているからです。
結論から言うと、幸せな生活とは、自分が楽しいと思うことや、好きなことを、毎日のルーティーンに散りばめること。
主人公の平山は、初老で、東京都内の公衆便所の清掃員を仕事にしています。
スクリーンは、平山の毎日のルーティーンを、繰り返し淡々と映します。
そのルーティーンとは、
・朝起きたら鉢植えの植物への水やり
・通勤の車に乗る前に、住んでいる安アパートの前の自販機でコーヒーを買う
・通勤時に車の中でコーヒーを飲みながらカセットテープの洋楽を聞く
・仕事中は、トイレを徹底的にきれいにする
・昼休みは神社のベンチでサンドイッチを食べて、フィルムのカメラで樹の写真を撮影
・仕事が終わったら銭湯に行く
・銭湯を出たら立ち飲み屋で晩御飯、一杯の酒と少しのつまみを食べる
・寝落ちするまで読書
・週一回の休日は部屋の掃除、コインランドリーで洗濯、神社で撮影した写真を写真店で現像、古本屋で100円均一の小説を一冊買い、美人のママが経営する行きつけのスナックで夕食
すべて一人の行動です。親しい友人はいません。部屋にテレビはなく、辛うじてガラケーは持っていて、ネットとは無縁の世界で生きています。
人によっては、「時代に置き去りにされたような、貧乏くさくて、何て面白みのない生活を送っているんだ」と思うでしょう。
しかし、絶縁状態となっている姉の娘(姪っ子)が部屋に転がりこんできたことをきっかけに、平山の過去に光が当たります。
実家が大金持ちであること、若い頃は父親の会社でバリバリ仕事をしたであろうこと、そして父親との間に激しい確執があったことなど、人生の喜怒哀楽を徹底的に経験した後に、今の生活に落ち着いたことを連想させます。
平山にとって究極の幸せを感じるもので埋め尽くされて、ブレない毎日なので、「PERFECT DAYS」なのでしょう。
私にとって、この映画から得られた、幸せに生きるための教訓は以下のようになります。
・収入の範囲で、心から楽しめる活動を、一日の中にいくつか織り込むこと。一人で短時間でできることほど実行しやすい
・人の目にどう映るかは気にしない
・何歳になっても恋愛感情を持つことは、毎日に張りを与える
・読書を楽しむ
・自然の移ろいに目を向ける
主人公の平山の日常を、一緒に楽しむ気分にさせてくれるとともに、翻って自分自身の幸福度を点検させてくれる映画でした。
お薦めです。是非ご覧ください。